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| 科目一覧へ戻る | 2026/03/18 現在 |
| 科目名/Course title | 認知心理学特論/Special Topics in Cognitive Psychology |
|---|---|
| 担当教員(所属)/Instructor | 鈴木 忠 (人間総合学部発達心理学科) |
| 授業科目区分/Category | 修士 発達心理学専攻専門科目 |
| 授業形態/Type of class | 演習 |
| 開講期/Semester | 2026年度/Academic Year 前期/SPRING |
| 開講曜限/Class period | 水/WED 3 |
| 対象所属/Eligible Faculty | 大学院文学研究科修士課程/Graduate School of Liberal Arts,大学院文学研究科博士課程(後期)/Graduate School of Liberal Arts,大学院文学研究科博士課程(前期)/Graduate School of Liberal Arts |
| 対象学年/Eligible grade | 1年 , 2年 , 3年 |
| 単位数/Credits | 2 |
| 副題 /SubTitle |
思考と誤答 |
|---|---|
| 授業のねらいと達成目標 /Course Objectives |
人間がものを考え何らかの判断をする時、誤りがつきものである。心理学には、いかに効率よく「正しい思考」ができるかを追求するアプローチがある一方、人間の誤りそのものに焦点をあて、それがなぜ生じるのか、誤りにどんな意味があるのかを考えるアプローチがある。この授業は後者の立場に立ち、思考における誤答が生成される認知過程とその意味について考える。 |
| 授業概要 /Course description |
授業の前半では、子どもが環境と相互作用をしながら言語を通して概念理解を獲得していくプロセスを論じた『言語の本質』(今井むつみ・秋田喜美著)を読む。次に学力テストでの子どもの誤答を生み出す認知過程の詳細な調査結果をもとに、子どもの学びと学習支援への提言をまとめた『学力喪失』(今井むつみ著)を読む。今井が言うように「すべての誤答には子どもなりの理屈がある」。誤答を単なる「正解でない回答」として済ませるのでなく、子どもなりの能動的な認知的所産としてその生成過程を理解することは、ピアジェに始まる発生的認識論、そして認知発達心理学の核心である。子どもは大人とは前提を異にする発想をするゆえに、大人から見ると「誤り」とされる回答をする。したがって子どもが「正答」するようになるプロセスは文字通り質的な変化であり、発達の非連続性を示すものである。子どもの誤答に注目することは、発達そのものの捉え方にかかわることである。授業では、今井の議論をもとに、認知的リソースや実行機能などの理論を適用しながら子どもの「つまずき」を生み出す思考プロセスを分析的に理解する。それはまた、学習につまずきや遅れをもつ子どもに対する支援計画を立案する教育工学的アプローチに欠かせないものである。 高度に情報化した現代社会では、非常に多くの情報を認知的に処理する必要に迫られている。授業の後半では、ノーベル賞受賞者として知られるダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』を読む。そこでは、人間が複雑な問題でもすばやく答をだし意思決定を行っていること、但しそこには種々のバイアスが伴い、判断がいつも正しいとは限らないことに焦点があてられる。カーネマンは人間の思考を、その場の状況に反応して直感的になされる「速い思考」と、合理的に考えようと努力する「遅い思考」という2つのシステムによって説明する。多くの問題解決場面では前者が「ヒューリスティックス」として機能し、それなりに有能であるが、いつも的確な判断をするとは限らない(認知的錯覚など)。そうかといって、いつも「遅い思考」で対処したのでは大きな認知的負荷がかかるし状況変化においていかれる。この理論的枠組みにもとづいて本書では、日常生活の小さな判断から政治やビジネスにおける重大な意思決定に至るきわめて広範囲に及ぶ研究成果が取り上げられる。それらを知ることを通して授業では、人間の思考がどのような点でバイアスがかかりやすいのか、それは何に照らしてバイアスとされるのか、バイアスにはどのような意味があるのかを考える。 |
| 授業計画(授業の形式、スケジュール等) /Class schedule |
第1回 オリエンテーション 第2回 『言語の本質』を読む(1) 第3回 『言語の本質』を読む(2) 第4回 『言語の本質』を読む(3) 第5回 『言語の本質』を読む(4) 第6回 『学力喪失』を読む(1) 第7回 『学力喪失』を読む(2) 第8回 『学力喪失』を読む(3) 第9回 『学力喪失』を読む(4) 第10回 『ファスト&スロー』を読む(1) 第11回 『ファスト&スロー』を読む(2) 第12回 『ファスト&スロー』を読む(3) 第13回 『ファスト&スロー』を読む(4) 第14回 『ファスト&スロー』を読む(5) 第15回 まとめ |
| 準備学習・履修上の注意 /Notices |
毎回読むテキストの分量がかなり多いので、そのつもりで受講してほしい。受講者が交代でレジュメを作り発表する。全員がテキストの内容について自分の意見をまとめ、討論に参加することが求められる。 |
| 教科書・参考書等 /Textbooks |
【教科書】 ・『言語の本質』(今井むつみ・秋田喜美著、中公新書、2023) ・『学力喪失』(今井むつみ著、岩波新書、2024) ・『ファスト&スロー』(ダニエル・カーネマン著、早川書房、2014) 【参考書】 適宜紹介する。 |
| 成績評価の方法 /Evaluation |
【評価方法】 授業への積極的な参加(60%)、および担当章のレポート(40%)により評価を行う。 【評価基準】 テキストを読んで授業に臨みどのような自分の意見を示すか、またレポートについてはテキストを的確にまとめた上でどのような論点を提示するかを評価基準とする。 【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】 授業での議論を通して行う。 |
| 備考 /Notes |
【討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている】 【発表(プレゼンテーション)を取り入れている】 |
科目と卒業/修了認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)の対応一覧
/Diploma Policy
https://www.shirayuri.ac.jp/campus/enrollment/diplomapolicy/